- September 8, 2008 12:27 AM
代官山 eau cafe の、おひとりさま用ソファ席で
自家製サングリアをいただきながら、
没入して読んできました。
『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』を筆頭に
社会派の良書をどんどん送り出してくる英治出版の8月の新刊、
『誰が世界を変えるのか (Getting to Maybe)』 。
内容は、『チェンジメーカー』のような社会起業家物語を中心に
複雑系やイノベーションに関わるコンセプトを提示し、
社会変革に何が必要か、過程で何が起こるのかを分析したもの。
かなり面白いです。
まず、表紙がいい。黒、黄緑、白。綿毛。
そして、翻訳も非常に巧いのですが、そもそも原作の
見出しの付け方、とてもクールです。
***
chapter 1 : The First Light of Evening(暮れ初めの灯り)
:イントロ。キーワードである"Maybe"と、「複雑」な問題というコンセプトの提示
chapter 2 : Getting to Maybe(「かもしれない」を目指して)
:イノベーターを突き動かす"Calling"(使命)と群れの行動原理
chapter 3 : Stand Still(静思の時)
:「思考は行動の一部」という特性、そして"Resilience(復元力)"のしくみ
chapter 4 : The Powerful Strangers(強力な他者)
:"Empacy(共感)"による、対立する力の向きを変えていく方法
chapter 5 : Let It Find You(世界があなたを見つける)
:社会的なフロー=集合的沸騰という転換点
chapter 6 : Cold Heaven(冷たい天国)
:苦しみ、失敗、挫折を「現実の直視」によって克服する
chapter 7 : When Hope and History Rhyme(希望と歴史が韻を踏む時)
:ソーシャルイノベーションにおける達成と成功についての考察。
chapter 8 : The Door Opens(ドアは開く)
:まとめ。
***
がつっと集中して読むと、とても重要なキーワードが鮮明に見えてきます。
外部変革とともに自分自身も変わっていく"Co-evolution(共進化)"の概念。
解放、再編、利用、維持の4つのサイクルを巡って
変化に適応する"Resilience(レジリエンス:復元力)"と、そこに潜む罠。
このあたり、複雑系やネットワーク理論の本と関連して読むと
どんどん世界が広がっていく気がします。
去年出た『ヒトデはクモよりなぜ強い』という組織論の本にも
近いことが書いてあるのでは。
また、難しい概念の提示がいくつもあるのですが、
それぞれが具体的な人のストーリーをたどる形で紹介され、
見失うことがありません。
グラミン銀行のムハマド・ユヌスについては詳しく書いているし、
『社会起業家という仕事 チェンジメーカーII 』を読んでいる人なら、
メアリー・ゴードン(ルーツ・オブ・エンパシー)の話はなじみがあるはず。
付録として『「かもしれない」を目指すには』と題した
志高き読者へのアドバイス集があるのも面白い。
社会起業家系の本の中では、難易度の高い部類に入ると思いますが、
じっくり読めば読むほど、来るべき世界のイメージに
心が踊る、そんな本です。
英治出版
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