Pages Navigation Menu

For Creative Communication

[書評]『フリーエージェント社会の到来』と、co-working spaceとしてのThe HUB

ちょうど去年の今ごろ、師匠であるフローレンス理事の岡本さんから勧められて久々に読み返した、ダニエル・ピンク著『フリーエージェント社会の到来』。
今週金曜のNetSquaredで特集される “The Hub” の予習として、そもそもフリーエージェントって?といったところを思い返しつつ、メモを書いておきます。

* * *

『フリーエージェント社会の到来』は、2002年に出た本で、アメリカにおける「組織に縛られない仕事の仕方」をコンセプチュアルにまとめたものです。「フリーエージェント」という概念は、フリーランス、インデペンデント・コントラクター(IC)などの言葉とほぼ同義だし、昨今流行りの「ノマドワーキング」もほぼ同じと考えています。オフィスを持たず、組織を持たず、緩やかな人的ネットワークの中で仕事をしていくワークスタイルです。

本書の後半は、財務的なアドバイスだったりしますが、中盤(第二部 4章〜11章)にはとても刺激的なコンセプト・ワードがいくつも出てきて、かなりわくわくします。その中から4つのキーワードを紹介。

▼仕事のポートフォリオ

→同時に複数の仕事を持ってリスクを分散する、という考え方。まあ、コンサルタントや制作の案件は、大概いくつか同時並行で進んでいくので、変わりないかもしれません。収入だけでなく、スキルの維持や人脈の拡大においても、いかにバランスよく複数の仕事を回すか、が重要になる気がします。また、複数プロジェクトをマネージするためには、相応の技量が必要にもなりますね。

▼フリーエージェント連合

→組織に代わる「連合(confederation)」=プロジェクトチーム。プロジェクトごとに人が集まって、それぞれの専門性を活かしたチームを結成し、仕事に臨む。そのチームは永続的ではなく、一段落したら解散。とてもダイナミックで、無駄のない、理想的なかたちだと感じます。

2002年以降、twitterの普及や、LinkedInを始めとするさまざまなソーシャルネットワークの基盤ができて、バーチャルな連合(オンラインで話が進められちゃう)の姿はどんどん明瞭になっているかもしれません。ただ、やっぱりバーチャルだけだと寂しいし、対面じゃないと生まれないものもあったりするので、いかにリアルで会うか、というのはずっと外せないでしょう。

この点が、The HUBが注力する「コミュニティにおけるシナジー」を生み出す仕掛けに関係するのではないかと期待しています。生産的な連合をどのように生み出し、集う人々の力を引き出していくのか?リアルとバーチャル、それぞれの仕掛けと関連性は?といったところが気になります。

#ちなみに、all rights reservedなので転載しませんが、Flickrに the HUBの写真が出てます。

* * *

▼互恵的な利他主義

→これぞ最重要概念(だと勝手に思ってます)。お互いがフラット(ヨコのつながり、ヨコの忠誠心)で、「信頼」によって弱い絆で結ばれ、流動的であること。組織のヒエラルキーに関係なく、技能や人間力で人間関係が決まっていく。

ちなみに、このあたりのネットワーク理論については、『ヒトデはクモよりなぜ強い 21世紀はリーダーなき組織が勝つ』や、バラバシの『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』でも詳しく研究されています。進化したインターネット、クラウドやオープンソースの仕組みで、これまでにない「個と個」の関係が、大きな力となりうることに気づけます。

▼第三の場所

→「サードプレイス」です。キンコーズ、スターバックス、オフィスデポ、など、オフィスを持たずに仕事するために必要な場所が列挙されています。

この本の中では、The HUBのような、コミュニティーセンター的な存在は言及されていません。しかし、ルームシェアの仕事版(オフィスシェア?)をやっている人もいますし、複数のフリーエージェントが共有する場は、もっとあってもいいのかもしれません。

サードプレイスとして必要な要件は、無線LANと電源、従量課金のオフィス機器、珈琲、打合せスペース、それ以外に何があるでしょう。The HUBの運営では、場に持たせる機能と収支のバランスがかなり練られているはずで、その点には興味があります。

* * *

ところで、今回のNetSquaredの会場が、ちよだプラットフォームスクエア というのは示唆的です。以前調べたこともありますが、皆が使えるフリーアクセス方式の「オープンネスト」と、ブースレンタル方式の「クローズドネスト」、ネットインフラと打合せスペース、と、かなり充実したインキュベーション施設であるようです。

ここは日本版のThe HUBなんでしょうか?また、もともと千代田区の中小企業センターをリノベーションして、民間(株式会社)が運営していますが、こういう場は独立採算で運営がまわるのか?

また、ダニエルピンク氏は「第三の場所」の特徴として「中央計画的でなく、自発的に形成される」と書いていますが、公共主導にせよ、民間組織やネットワークが主導するにせよ、計画された拠点群は、うまく形成されるのでしょうか?

* * *

ところで、Webマーケ屋としてすごく気になっているのは、”The HUB”という名称が一般名詞すぎて、検索でまったくもって引っかからないこと。(日本語ではギネスが美味しい飲み屋の情報ばかり。。ちなみにJohathan Robinsonもヨーヨーマンやベーシストなどいろんな同名の人がいます)

hub = a center of activity or interest or commerce or transportation; a focal point around wich events revolve (活動、関心、商業活動、移動の中心であり、ものごとがまわる焦点) [LexicENアプリより]

とあり、そのまんまのネーミングではあるのですが、検索して一発で情報が出てこないと、コンセプトを広げていく上では、きわめてもったいないとおもいます。もっとユニークな名付けはあり得るんでしょうか?

* * *

書きながら、いろいろ考えたい質問が浮かんできました。
明後日は「コミュニティにおけるシナジーを生み出す仕掛けづくり」と「場の収益構造と広がりの可能性」について、詳しく聴いてみたいなーと考えてます。

市川さん、当日会場でお会いする方、どうぞよろしくお願いします!

+ NetSquared Tokyo 2009/12/18
http://www.netsquared.jp/nettuesday_vol6_091218/

+ 『ソシアレ』によるコワーキング・スペースのまとめ
http://www.socialcompany.org/archives/2009/09/misc/coworking_spac/html

+ 唯一見つけたRobert Paterson氏による英語インタビュー。訳出断念。読める人はどうぞ。
http://smartpei.typepad.com/robert_patersons_weblog/2006/08/review_of_the_c.html

2 Comments

  1. はじめまして、Netsquared Tokyoに少し関わらせていただいております、わたなべと申します。金曜、ご参加いただけるのですね!
    予習的ポスト、ありがとうございます。
    お会いできますのを楽しみにしておりますー。

  2. はじめまして。
    ボクも『フリーエージェント社会の到来』で多くを学び、Coworkingという働き方を知るに及んで、各地の事例とサイトを参考に神戸で活動を始めようとしております。
    少しブログにも書きました。
    http://itotomio.com/?p=390
    今後また、情報交換できれば嬉しいです。

コメントを残す