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憧憬(vision)を描くこと。『感じるマネジメント』読後感


デンソーにおける理念浸透の物語を綴った書『感じるマネジメント』を読みました。@neonaonとリーラボの話をするとき、たびたび話題に上がるのがこの本。組織に価値観を浸透させること、ひとつの方向に集団を導いていくための方法が示唆される。

この本の中で、もっとも印象的だったのは、p101から、
ビジョンを『憧憬(しょうけい)』と訳したところ。
夢や理想とは違うし、ミッション(使命)とも違う。
かくありたい、という、あこがれの情景を描き、語ることが、トップがすべきことだと説きます。

そして、トップがビジョン=憧憬を語ることで、それを聴くメンバーそれぞれに「内省(reflection)」が誘発される。自己投影とか、自分のこととしてとらえる、ということに近いと思う。この、内省を誘発するところが、抽象論ではなく物語だからこそ持ち得るパワーである、と。

中盤で提示される5つのハコのモデルは、うまく整理されているように思える。

トップの意思と行動
プロモーション
職場での実践
物語の伝承
仕組みの設計と運用

そして、これらは「ビジョン=憧憬の提示と、物語を通じた伝承、内省による個々人の物語の再発掘、伝播」というサイクルにつながっている。いろいろな経営者の自伝的経営論が出ていたり、名著『ザ・ファシリテーター』のように、物語のかたちをとった指南本に惹かれたりするのも、物語の力だ。

著者の高津さんは、デンソー・プロジェクトの物語を書き終えた後、あとがきに、著者自身の憧憬を記している。

『経営理念共有の、意味、基本となる思想、そしてアプローチ。
私たちの考えを、本という形で世に問いたい。
この本を手に取った人々の意識や行動に、意味のある変化が起こったら。
その変化が、会社・社会・そこに生きる人々の幸福の希求につながったら。

それが、私たちの、憧憬でした。』

1冊の本の中に、強い一本の筋が見える。
そういえば、「憧れ」がモチベーションの核になる、ということは、斎藤孝氏が『私塾のすすめ』や『座右のニーチェ』で提唱していることでもあった。

「君は君の友のために、自分をどんなに美しく装っても、装いすぎるということはないのだ。
なぜなら、君は友にとって、超人を目指して飛ぶ一本の矢、憧れの熱意であるべきだから。」座右のニーチェ p14、『ツァラトゥストラ』p88引用

自らの憧れをよりどころに、強烈なエネルギーを発揮し続けること。
その憧れに憧れて、新しい「熱」を生み出していくこと。
ひととコミュニティの方向づけについて、大きな気づきをもらいました。

2 Comments

  1. とてもうれしく拝読しました。
    あの本の編者代表として、御礼申し上げます。

    仲間とあの本をまとめたのはもう2年以上前になります。入谷さんのコメントを拝読して、あの本を作った時の熱い気持ちを思い出しました。また、入谷さんがさまざまなご自身の知識と結び付けてくださっていて、とても勉強になりました。

  2. わお、高津さん、コメントありがとうございます!
    小野田がお会いできてめっちゃ喜んでました〜

    会社組織に限らず、コミュニティのような人のゆるやかな集まりでも、
    「憧憬」でひとをまとめていくことはとても大事だと思いました。
    いい本を書いていただき、ありがとうございます。

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