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本が読みたくなる本『インタビュー術。』(永江朗 著)


「インタビューのワークショップ」への参加が決まって、関連図書を引っ張り出しました。どんぴしゃの題名である『インタビュー術!』は、随分前に買った本ですが、改めて読み直したら、書棚の本が一気に増えてしまいました。

著者の永江朗さんは、自身がインタビューをすごい量経験してきたフリーライターです。しかし、この本は単なる「体験記、自己流の方法論開示」ではなく、さまざまな参考書籍(レファレンス)を引用して組み立てられています。その一つ一つの引用が鮮やかで、本、インタビュアー(聴き手)、インタビュイー(話し手)それぞれの良さがしっかり描かれているので、次から次へとその本が欲しくなってしまいます。

本の雑誌『ダ・ヴィンチ』に載った、作家・石田衣良のインタビューを例にした、インタビューの事前準備と、インタビューを行うホテルのラウンジでの立ち居振る舞いを描いた章。永江さんが、衣良さんの本を事前に読んで、登場人物やあらすじをメモする様子や、潮時を測りながらインタビューを収め、衣良さんを送り出す様子はとても具体的です。インタビュー記事ひとつにも、たくさんの準備と気遣いがあることを想像しながら『ダ・ヴィンチ』を読むと、読み方がぐんと深くなります。

『アレックス・ヘイリープレイボーイ・インタビューズ』を紹介する章。一篇が4万字ぐらいある、長編インタビュー集で、ここでは聴き手のアレックス・ヘイリーの「質問力」に焦点が当てられています。いくつもの記事の断片から抜き出された、ヘイリーの質問の数々を見るだけでも、「これを読んで真似たら、質問力が上がるんじゃないか」と思わされます。この本はAmazonで購入し、女神山のお供に持っていこうと思っています。

山際淳司『江夏の21球』を紹介した章。ここでは、山際さんが長年編集をしていた、スポーツ誌『Number』の魅力を再確認させられました。『江夏の21球』は、江夏豊投手へのインタビューを軸にしながらも、インタビュー記事ではなく、ノンフィクションとしてまとめられた文章です。Numberの記事のテイストは、よく読む方ならなんとなくわかるはず。Numberのライターさんには本当に愛と文章力に溢れた方が何人もいらっしゃいますが、「インタビュー」こそがあの記事の基盤であること、インタビューという活動を軸に、優れたノンフィクションが書ける可能性があることを改めて感じました。

他にも『ほぼ日』を始め、たくさんのインタビュー本・インタビュー媒体が取り上げられ、ひとつひとつを例にインタビューの心得、技術が描かれています。たくさんのレファレンスがある分、ひとつひとつは断片的なので、「それはちょっと全編読んでみないと!」と思う本がいくつもあります。そんな数々の「優れたインタビューに基づく本」を読んで世界を広げて行くために、本書はすばらしい水先案内人になると思います。

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