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ひとが渋谷を創り、シブヤが人を育てる――渋谷文化茶会

通勤電車の中吊りがご縁で、11/23(火祝)のトークイベント、「渋谷文化茶会 其ノ参
シブヤで働こう。」
に立ち見で参加した。会場のRESPEKTは、わが職場からたぶん徒歩1分未満。渋谷に転職してきて半年ばかり経ついま、この街で働くことの価値を捉え直す、よい機会になった。

そもそも渋谷ってどんな街?

プログラムは普通にゲストの自己紹介から始まったが、実は途中の休憩後(2時間のプログラムの半ばが過ぎてから)に披露された、参加者アンケートの属性集計と、渋谷にまつわる統計データこそが、議論の基盤として、最初に明示的に共有されるべきだったと思っている。

  • 参加者の職業で一番多いのは飲食フード系(これは楠本さん登壇の影響かな)
  • 仕事のファッションはカジュアルが半分でスーツは4分の1(残り4分の1は使い分け派)
  • 新宿に比して小規模なネットベンチャーが集積。デジタルコンテンツ制作や広告などのクリエイティブ産業は、都内でも「広域渋谷圏(渋谷―表参道―青山)」に集中
  • 参加者の9割が「渋谷で働くことは楽しい」と回答
  • 参加者の3割以上が「オフィスが渋谷にあること」を会社選びの理由になったと回答
  • ランチ満足度は過半数が不満足(笑)(価格または選択肢の幅の面で)

こうした文脈を踏まえてこそ、このテーマで選ばれた3名のゲスト=ぴあの矢内さん、カフェカンパニーの楠本さん、東京仕事百貨の中村健太さん、という組み合わせが生きてくるはず。

エンタメの街に、チケット屋さんがやってくる。

ぴあの矢内廣社長によれば、渋谷には50のライブハウス、19のホール、12のミニシアターが集積していて、「毎日何かが行われている」場だという。最近では桜丘町の旧大和田小学校跡地が2つのホールを持つ文化施設になったし、再来年完成する渋谷ヒカリエにも、2千人収容のミュージカルホール(東急シアターオーブというらしい)ができるという。こうしたエンターテインメントの「現場」に接近することが、ぴあが半蔵門から渋谷へ移転してくる最大の理由なのだと、矢内さんは語っていた。

チケットを売った後のイベント立会い等で、ぴあの社員は現場に出て行く。その時の物理的な(そして経済的な)移動コストの削減はもちろん、その現場に距離が近いことが、ひとを育てるという点でも有意義であるという判断なのだそう。この話は、企業がどんな地域に存在するのか、という意味で、とても筋が通っているように感じる。ぴあ「らしさ」が東京で一番しっくりくるのが、渋谷なのかもしれない。

谷の「飯場」を仕切る、カフェカンパニー

カフェカンパニーの楠本修二郎社長からの話で面白かったのは、「谷、低地の水辺には『飯場(はんば、調理場)』が形成され、そこで井戸端会議が始まり、情報が交換されてコミュニティになっていく」という話。渋谷川がコンクリートで固められた暗渠になった今でも、すり鉢状の渋谷の街には、今でもカフェが本当に多い(愛用している東京カフェマニアでもダントツに掲載数が多いのが渋谷エリア)。2003年に上京してきた自分が、始めて出会った「カフェ」というものは、まさに渋谷三丁目の元祖Planet 3rdだったけれども、今もRESPEKTPUBLIC HOUSEを経営する楠本さんが、飲食店をコミュニティ形成の核に置いているというのは、とても視界がクリアになる話だった。

マニュアルではなく、「ひとの感性や、優しさや、元気さ」に重きを置いて店舗を経営している楠本さんは、渋谷の「空気感」をよく観察している。北米西海岸(サンフランシスコ、シアトル、バンクーバーの辺り)で流行っているという二つのキーワードeasy-going“と”do-gooderを紹介しながら、渋谷に流れる自由なムードを言語化していってくれた。

「誰と働くか」の「誰」は、場所が育てるもの

表参道にオフィスを構え、経歴から不動産業界にも明るい、東京仕事百貨の中村健太さん
(@nknta)。健太さんの印象的な言葉は、「場所がというより、そこに集まってる人が素晴らしい」という、総括の一言。ここでおそらく大事だと思うのは、「渋谷という場所の話が『結局は場所じゃなくて人だよね』という話に落ちてしまった」のではなくて、『渋谷という場所だからこそ、一緒に働いて心地良い人が育つ』ということなのではないだろうか。それは渋谷に集まる人の組成や、流れる空気感や、「箱」のありようにも影響される。健太さんは最後のひとことで「渋谷ではたらくことは『自由』であること」と表現していたが、自由なコミュニティを志向する人、自由さによって創造性が刺激される仕事にとっては、大きな相乗効果がある街なんだと感じた。

こうして書いてみると、けっこう気づきがあったように思えるけれど、聴いていたときは随分物足りなかった。前半は特に一般的な話題が多くて(特に健太さんが振られた話題は、よのなかの傾向がどうかとか)、「渋谷」色が薄かったように思う。モデレーターだったシブヤ経済新聞の西さんは、もっとディープなネタをたくさん持っているはずなのに、ちょっともったいなかったなあ。

しかし、これからもたくさんの人が、渋谷を語り、渋谷のことを書いていくはず。引き続きこの街で働きながら、自分もちょっとずつ、人の流れや表情を観察してみたい。

+ 渋谷文化プロジェクト
http://www.shibuyabunka.com/

+ テレ東「ワールドビジネスサテライト」特集(05:28-。ただし、本エントリーとは趣旨の異なる編集)
http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/news/post_1959.html

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