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For Creative Communication

コミュニティが、勝てるメディアの稀少価値。

「情報はコモディティ(潤沢品)化した」——何かしらを書き、編集して発信したい人にとっては切実な問題だ。Webを使って誰でも自分のメディアを立ち上げられる時代である。しかし、単なる情報は「FREE」になってしまった今、メディアは何で生き残っていくのか?

Think the Earthプロジェクトの「セミナー&サロン」で、インフォバーンの小林弘人氏が説いたのは、潤沢な情報を抱えるメディアの、隣接領域にある「コミュニティ」に、新しい希少価値を見つけていくという方法だ。メディアを作りたい人が向き合うべき現状と、サステナブルにしていくこと=換金化の道を探るアプローチについて、講演を聴いた。

新しい希少価値探しの時代

コモディティ化に対抗するということは、自分のオリジナリティを探すことだと思う。

小林氏が引用した、クレイトン・クリステンセン教授の言によれば、「コモディティ化」や「モジュール化(機能分化)」の波は常にやってきて、それを免れた一部のものだけが生き残っていける。そこで、どこに新しい希少価値を探すか?

答えは「周辺領域」にあるという。メディアでいうところの、ネットワーク(メディアがつないだ人脈)、コミュニティ(読者や支援者の輪)、コア・コンピタンス(独自のテーマや視点など、他のメディアには書けない核となるもの)などが、付加価値の源泉になる。

この話を聴いていて、最近greenz.jpが「既存のWebマガジンから脱皮して、6万人のクリエイターを抱えるコミュニティメディアへ」と舵を切った話を思い出した。良質なメディアには価値の高い読者コミュニティが形成され、そこからさまざまな動きが生まれてくる。それはただ刺激的で面白いだけではなくて、換金化(マネタイズ)し、メディア自体を持続可能にしていくことにもつながる。読んで、気に入って、応援してくれる、人こそが資産

換金化という面だけをとっても、コミュニティという資産の生かしかたは、自社サービスでの換金化と、他者サービスへの送客を通じた換金化(API、アフィリエイト、成果報酬)が考えられる。ただ、換金化可能なレベルに至るのは、ほんのひとにぎり。そのひとにぎりに入るためには、つきつめれば、良質な記事を生み出し続ける継続性と、それを可能にする腕のいい書き手・編集者が集まっていることが必要なんだと思う。

狙うべきターゲットクラスタを絞る

どのような情報なら、コミュニティを形成できるのか?

提示された一つの答えは、適切な規模の「クラスタ」を狙ってアプローチすること。例えば「コラーゲン」に関心のあるクラスタに読まれるコンテンツを発信し、それがしっかり刺さればバイラルが起こる。

これ、要は「読者をセグメントし、ターゲティングし、自らのポジショニング(強み)を生かして攻める」というマーケティングの基礎のことだと思う。情報がコモディティ化しているからこそ、「みんなにとって面白い」記事がウケるのはきわめて難易度が高くて、対象は絞ったほうがいい。

そうすると「誰に向けて書くのか?」という問いが生まれてくるが、印象的だったのは小林氏のこの言葉だ。

『届けたい相手は、届けてくれる相手』

良記事をブックマークしたりRTで拡散したり、一読者の関係性を超えて「配達者」(エバンジェリストという言葉も連想した)になってくれるような人を動かせば広がっていくということ。

逆にとらえると、「お互いに発信者であること」が、雑多な情報の中から良質なものを拾い上げ、フィルターしていく方法でもあるのだ。質疑応答の中で語られた、「ネットの情報はゴミばっかり、とかって言っている人は、自分が発信者になればいい。発信者側になれば、ゴミじゃないものが集まってくる」というようなことは、コミュニケーションは一方通行ではなく、「やりとり」が必要なんだということを、改めて考えさせられる。

「おもてなし」できるメディアが生き残る?

講演の終盤では、”Collaborative Consumption(コラボ消費)“のキーワードとともに、swap.comourgoods.org, Airbnb, そしてKivaなどの新しいサービスが紹介された。一方で、換金化のために「プラットフォーム戦略」を取る会社として、google, eBay, craigslistの事例が紹介された。WebのASP事業者あたりだと、猫も杓子も「プラットフォーム戦略」を唱えて利益を取りに行こうとするけど、使う側にとってプラットフォームは1つでいい。

そこで、どのプラットフォーム、メディアが生き残っていくのか?

その要因は、「おもてなし」かもしれない。どれだけ親切なUIになっているかや、丁寧なサポートをしてくれるか。会員制度の設計一つ取っても、きちんと使い手やお金を払って使う人の満足度を確保しないと、そこにエンゲージメント(信頼感)は醸成されない。十分なおもてなしができるしくみを作るのはとても大変だけれど、そこで力を抜いて、稀少な存在で居ることはできないのだろう。

小林さんの話は、メディアを主宰する人に向けての戦略論だ。しかし、「誰もがメディアを作れる」という視点に立てば、発信する人はすべからく意識することとも言える。メディアを取り巻くコミュニティを大切にし、ターゲットを絞り、おもてなしのこころを持つこと。そうやって丁寧に発信を続けていく人が増えれば、良いコミュニティが生まれ、育っていくのだと思う。

// references

+ 小林弘人の「誰でもメディア宣言」@日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20070517/125068/

+ 個人発メディアの作り方 greenz.jp 鈴木菜央 @tamalog
http://tamachan.jugem.jp/?eid=690

2 Comments

  1. たまたま見つけたので、なぜかここにコメント。

    『良記事をブックマークしたりRTで拡散したり、一読者の関係性を超えて「配達者」(エバンジェリストという言葉も連想した)になってくれるような人を動かせば広がっていくということ。』
    これ、今日少し話した、プロボノ成功のための「開始前の人集め」「作業中のマネジメント」も同じかも。「コミット」の中心となってくれる配達者を動かせばいいのかも、と連想しますた。

  2. @soshitw ごく少数のキーマンと、強固な信頼関係を築ければ、それが推進力になりそうです。ボランティアで集まる人たちも、コミュニティの中で動いてるって見ると、面白そう。

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