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全編二人称のインタビュー映画、「玄牝」

嫁に誘われて、河瀬直美監督の「玄牝」を観てきました。白髭の院長が自然分娩を行う産院「吉村医院」を舞台に、出産といのちを見つめる映画です。

この作品、ナレーションが一切ありません。説明は何もない中で、無声の風景描写と、吉村先生や来院する妊婦、助産婦の方々へのインタビューで全て構成されています。撮影者は、河瀬監督自身。聴き手としての河瀬さん自身の声も、ほとんど入りません。

このエントリーの表題に「二人称」と書いたのは、観る人は常に「聴き手」として登場する人々に関わっていくことになるからです。撮る人のモノローグではなく、また、劇中の誰かと誰かの対話でもない。「玄牝」を観る目線はいつも河瀬さんと同じ立場で、「あなたはどう感じているの?」と問い掛け続けるのです。

流産・死産などの「お産における死」を肯定する立場を表明する吉村先生の考え方は、受け入れられない人が多いようです(批判も多く、東京でも渋谷ユーロスペースでしか公開されていない)。でも、自分には何一つ、違和感がありませんでした。一方で、助産婦さんが感じる違和感や葛藤、最終的に帝王切開になったひとの話も、わかる気がしました。

森の中の薪割り場や、医院での両親学級が開かれる畳の間に流れる空気は、観ているだけでもとても心地よいものでした。来年3月には船橋の助産院に通うことになりますが、気持ちだけはもう、吉村医院でいのちを待っているような感じになっています。

+ 超映画批評
http://movie.maeda-y.com/movie/01532.htm

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