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小松成美さんのインタビュー

永江朗『話を聞く技術! [The Interviews of “The Masters of Interview”]』を読んでいて、糸井重里もジョン・カビラも面白いんだけど、俄然心を奪われたのが、ノンフィクションライター・小松成美さんの章です。「ルポを書く」という前提に立ったインタビューを行う上での、圧倒的な心構えがリアルに描かれています。

想定する質問は、A4のノートが一冊になるぐらい。最低一ヶ月ほど準備して、インタビューする方のバイオグラフィーや現在の状況、またプライベートの環境であるとか精神状態であるとか、そういうものも考慮して、会話のシミュレーションをするんですね。(中略)でも、挨拶をしてインタビューを開始する瞬間には、すべて消去して頭の中を真っ白にするんです。(p96)

1時間のインタビューと、単行本一冊分のインタビューでは、そりゃあ事前のインプットの量も違うと思うし、既にたくさんのコンテンツが出ている人かどうかで、可能なインプットの量も変わってくるとは思いますが、それにしても「A4ノート一冊分」とは!『ビートルズが愛した女 アストリット・Kの存在』を書くにあたっては、企画4年、インタビュー150時間、執筆3年、という信じられない時間をかけています。それだけのエネルギーの結晶が、ようやく一冊の本になって出てくる。

そう、カットバックしたり。カメラがズームしたり、ナレーションが入ったり。原稿を書き始めるときは、だいたいその編集作業が終わった時なんです。つまり、頭の中で、一編の映画ができている。(p102)

この、インタビューから文章にしていく上での「映画」というイメージも印象的でした。執筆が一番苦しい作業(不整脈が出るほど。。)ということですが、そもそもの構成が決められるかどうか、というところは、映像的な閃きがカギになっているとのことです。

さて、この本以外で読める、小松成美さんに対するインタビューとしては、「JT STYLE CAFE」サイトで、DJ山本シュウが聴き手をしたものが一本。ここでは、「なぜ小松成美にだけは話をしてくれるのか」について、シュウ氏がストレートな分析をしています。(キャプチャは同サイトから)

シュウ:「本気やからよ。ほんで、めっちゃ愛があるから。要するに、『この人はライターとしてプロの意識を持ったすごい人や』っていうのを直感で感じたのよ。向こうからしたら、そんなインタビュー、今までに何回も受けてる訳ですよね。そんな中、野球に関しては素人の小松さんが、必死で絞り出した質問をぶつけてきた。んで、その質問はイチロー選手からしたら、今まで受けたことが1回も無かった質問やったし、インタビュアー、つまり小松さんから本気さを感じたんやろな。『この人は、本気でこれを聞きにきてる』。一流の人やからこそ、そういうことを敏感に感じてくれたんやろうと思います。」(STYLE CAFE 1/4)

また、サンスターのサイトに、「Women’s Life & Health」という連載企画で、聴き手は分かりませんが、前後編6ページの長編が一本あります。サンスターの方は、上記アストリットにインタビューした際の具体的な苦労話が一歩踏み込んで描かれていました。また、野茂英雄にロングインタビューをしたときの、「心が開いた瞬間」についても描写されています。

インタビューって何て不思議な作業なんだろう、と思いました。私は取材者だから、初めて会った人に、「青春時代はどうだったんですか?」「そのときどんな思いだったんですか?」と聞くことを無条件に許されるわけですよね。でも、相手が覚えてないと言ったらそれは覚えてないことだし、ああそうだったかも、と言われたらもうそれで終わってしまうわけですよね。でも、その心の扉が開いたら、初対面の私にさえ思いの丈を語ってくれるんですよ。インタビューという行為の難しさと素晴らしさを知りました。野茂英雄から受けたレッスンですね。(サンスター「Women’s Life & Health」後編 1/3)

ノンフィクションという視座からの、インタビューの在り方。とりあえず、「イチロー・オン・イチロー」と、「和を継ぐものたち」は購入してみまして、しばらく、小松成美さんのインタビューについて研究してみようと思います。

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