仏教メディアの「彼岸寺」がプロデュースする、ソーシャル坐禅アプリ「雲堂」は、文字通り坐禅をナビゲートする機能付きタイマーです。これを利用して、一日10分、集中して日記を書く、という習慣を始めてみました。坐禅アプリなのに坐禅をしない(笑)わけですが、精神統一して「書く」ことに向きあうことも、一つの文章修行(Wiriting as a practice)…。これはまさに、私の座右の書、ナタリー・ゴールドバーグ『魂の文章術』に書かれていることです。

ナタリーが説く文章修行のルールは、「制限時間、手を動かし続ける」こと。書きながら読み返したり、編集したりせず、とにかく心に去来することをそのまま吐き出すこと。それが実は、日頃から溜まっているいろいろな「毒」を吐き出す効果につながります。10分を超えて書き続けてもいいし、「日記」といっても事実の記録やその日の出来事に限る必要はないのです。

一方、慣れないうちは10分という短い時間ですら、「手を止めない」ことが難しく思えます。「書くことがない」状態にすぐ陥るのです(特に、平凡な仕事で一日が過ぎたような日は)。そんなときの解決方法は、「ディテール」を書くことです。固有名詞やものの色、形、人物の表情や台詞、動きなどを丁寧に観察し、描写していけば、書くことは際限なく生まれ続け、書く内容も具体的でユニークなものになります。文章修行を通じて「ディテール」を意識するトレーニングを重ねると、目に映る世界の解像度が上がり、記憶が鮮明になったような気分になります。

ナタリー流の「文章修行」や、ジュリア・キャメロンの「モーニング・ページ」など、書き続けることを習慣化することは、非常に苦しいことです。しかし、数日続いたあとの産みの苦しみを、「ディテール」を書くことで乗り越えれば、普段の仕事や、日常会話や、手紙や、ブログを書くときに出てくることばの質が変わってくるのではないでしょうか。

さて、「雲堂」は非常に洗練されたアプリで、坐禅開始時の3つの鐘の音、坐禅中に線香が燃えていくビジュアル、坐禅終了時の澄んだ鐘の音、集中力が途切れたときの「警策」と、PCやノートの脇に置いておくのにも最適。解説動画もきわめて丁寧なつくりで、これを観たらペンを放り出して普通に坐禅をしたくもなります(笑)。

使って気持ちのいいタイマーがあると、「制限時間」を決め、終わりの時間まで集中して書くことがとてもスムーズになります。twitterにつぶやく機能や、延べ坐禅時間を集計する画面も、習慣化を後押ししてくれるかもしれません。坐禅、書くこと、あるいは他の方法でも、毎日少しずつ、気持ちを落ち着かせて自分の奥のほうと向きあう時間を確保することを、心からおすすめします。

+ 雲堂