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TEDx運営スタッフに勧めたいiPadの活用法と、準備すべきドキュメント群

イベント運営に必要なさまざまな情報は、紙ではなくiPadに集約する時代へ――
そう直感して、先日のTEDxKids@Tokyoでは、前日リハーサル中にちょっと会場を抜けだして、代官山から道玄坂のビックカメラに駆け込み、64GB黒モデルのiPadを一括払いで購入。深夜にセットアップして、イベント当日に利用しました。その結果得られた経験と使い勝手は、期待通り!イベント運営に欠かせない情報の管理に、iPadがどんな風に役立つか、ご紹介します。

iBooks – ドキュメントの一元管理

TEDxKids@Tokyoにおける私のポジションは「フロアマネージャー」。外誘導、受付、会場内誘導をスムーズに行い、ステージが遅滞なく進むように、また、参加者が気持よく過ごせるようにセットアップをする役割です。フロアを回すために、さまざまなドキュメントを作成し、計24人のフロアスタッフのシフトを組みました。また、フロアと直接関係しない情報も、さまざまな形で文書化して、参照しながら行動計画を現場で練ります。

作成したドキュメントは、全てPDFで出力し、iTunes経由で読み込んで、iBooksからすぐに参照できるようにします。代表的なドキュメントはこちら。

(1) オペレーションマニュアル

フロアスタッフ全員に配る文書です。プログラム、スポンサー企業一覧、会場へのアクセス図、受付の導線、会場ホール内の導線を示すとともに、「人員配置」を指示します。これがシフト表に対応し、どのポジションに入ったときに、どこに立ち、何をするべきか、参照できるようにします。Pagesで作成。

(2) シフト表

フロアスタッフの時間ごとの配置を示す文書です。プログラムの進行に合わせて、10分刻みで作成。最も人手を必要とする朝一番の配置に応じて「チーム」を編成し、1名を「リード」=チームリーダーとして割り当てます。TEDxKids@Tokyoでは、7名のNavigation(外誘導)チーム、6名のRegistration(受付)チーム、3名のDrink(ウェルカムドリンク提供)チームにリードが立ち、チーム内の作業確認や全体との調整に当たってくれました。人数が多い場合、統括役はリードとの連携をスムーズにすることがカギになります。Numbersで作成。

シフト表作成は、まさにパズルですね…。常時ポジションごとに必要な人数を配置し、全員に十分な「観る」時間と休憩時間を割り当て、なにより「適材適所」を目指す…。難しいですが、うまくシフトがはまれば、スタッフはスムーズに動くことができます。

(3) 進行台本

舞台監督が作成した進行台本です。ナレーション、登壇者の出入り、PA(音響)、照明、カメラなど、ステージ周りのスタッフの動きを規定します。フロアは常に、ステージの進行に合わせて動いていくことになります。例えば、スタートが15分遅れて、途中のBreak(休憩)を10分縮めて遅れを吸収する、といったようなケースでは、シフトの交代のタイミングも変わってくるので、常に注視が必要です。この辺り、フロアマネージャーは舞台監督やPAの人たちとインカム(トランシーバー)で情報を交換していました。

(4) ロジ(物品リスト、車の出入り)

フロアマネージャーは人の動きだけでなく、モノの動きも把握しておく必要があります(でないと指示が出せない)。ロジ表では、特に手配した物品の配置と撤収の段取りを明らかにして、「これどこに返せばいいんだっけ?」とか、「今からじゃ宅配便手配間に合わないよ!」という事態を極力回避します。また、今回は駐車場が2台分しか確保できなかったので、車による搬出入のタイミングを見極めて、駐車場が埋まらないような手配をしていきます。

(5) フロアレイアウト詳細図

ステージデザインに直結するフロアレイアウト図です(オペレーションマニュアルでは、ここに人の配置に関する情報を付け加えています。下図)。前日の設営では、このフロアレイアウト図に従って椅子や小物の配置を行っていくので、フロアスタッフが動く上で非常に重要な存在です。

フロアレイアウト上もっとも重要なのは「縮尺」です。フロアの実寸法に対して、椅子の横幅などのサイズを合わせることで、実質何列の配置が可能なのか、現実的な解を出すことができます(実寸に基づかないイメージの配置図は、設営上は役に立たない)。ウェブ上に掲載されている機材寸法を確認したり、会場下見時にメジャーで図るなどの事前準備が必須になります。

※余談ですが、掌を広げたときの親指の先から小指の先までが、約20cm(spanという単位だそう)。メジャーがないときは、これを使った概算の寸法を使うと便利です。

(6) 参加者名簿

受付用の参加者名簿も、オペレーション上欠かせません。受付に必要な最低限の情報をコンパクトにまとめ、通し番号を振るなど、分散処理と検索がしやすいような工夫が求められます。TEDxKidsでは、ここに「子どもの年齢・性別に応じて、ワークショップ用のグループ分けを行う」という処理が加わったため、受付手順が非常に複雑になりましたが、Registrationチームとの連携には、「名簿」の工夫と、例外処理を含めた手順書の作成が効果的です。

(7) 会場周辺地図

会場外の案内でよく聞かれるのは、「コンビニ」「自販機」「トイレ」の情報。TEDxKids@Tokyoの会場であった渋谷区鉢山町周辺は、なぜかコンビニの砂漠地帯で、駅まで10分以上戻らないとコンビニがない、という状況で、つらいものがありましたが、飲み物や軽食を調達できる場所の案内は喜ばれるかもしれません。また、トイレのキャパシティが少ない場合、近隣の公共施設や公園、商業ビルの共用部など、自由に使えるお手洗の位置を表示しておくと、混雑の緩和にも役立ちます。

このようなドキュメントを印刷して持っておくと、クリップに挟んだとしても分厚くなってしまい、なくしたり落としたり汚したりするリスクが大きくなりますが、全てPDFでiPadに取り込み、「コレクション」を作成して一覧化すれば、いつでも必要な情報をクイックに参照できます。

写真 – 導線や機材の共有と現状復帰

イベント運営における「写真」の活用シーンは、大きく二つあると思います。
一つは、「下見」の情報共有。機材の詳細を撮影して配置を確認したり、動かせるもの・動かせないものなどを確認します。下見に行ったことのないスタッフには、最寄り駅から会場までの写真を撮っておいてスライドショーで見せることで、多少は導線のイメージを共有できるかもしれません。

もう一つは、撤収時の「現状復帰」の指針とすることです。家具の配置など、初期状態を撮影しておけば、「こういう配置に戻しておいて」という指示が非常に明確になります。個人デバイスであるiPhoneに対して、大画面のiPadは、他の人と情報を共有することを念頭に作られているように思います。写真を見ながらチームリーダーと打ち合わせれば、間違いのない情報共有が可能です。

ホワイトボード – 筆談・即席サインとして

今回現場で「欲しい」と思いつつもアプリを入れておらず、イベント終了後に発見したのが、「ホワイトボード」アプリです。急に必要となったサインを即席で準備したり、声でのコミュニケーションができない会場後方での協議などに、「筆談」形式を利用することができます。キャプチャ画像はその名も「ホワイトボード」というアプリですが、手書き文字が書ければ、この機能は見たせると思います。

一方、全てがiPad上で完結するわけではありません。例えば、「撤収時にこの紙を元あった額に収めておく」といった細かい指示・申し送り事項の共有には、昔ながらのポストイットを使ったり、メンディングテープ上にマジックで書いたりして残すことが効果的です。全面的にデジタルに頼るのではなく、必要に応じてツールを使い分けることは必要ですね。

以上が今回のTEDxKids@Tokyoで実践したり想定したりしたiPadの使い方です。今後アプリが発達すれば、会場内に無線LANを構築し、PA卓の状況を表示したり、スクリーンの返しモニタ(映っているスライドを講演者が手元で確認できるもの)として使ったり、もっといろいろなことができそうです。

指揮にiPadを使う、というのは、女子バレーボール日本代表を率いる眞鍋監督の十八番。彼の場合はコート後方に、リアルタイムデータを集計してデータをiPadに無線で送るアナリストチームが控えていますが、通常のイベント運営の場合、上述したiBooksでのドキュメント共有・写真の共有・手書き文字による指示やサインといった機能を活用するだけでも、スタッフ間コミュニケーションは飛躍的に改善されると思います。これから中大規模のイベントを仕切る人は、ぜひ、iPadをコントロールタワーとして活用してみてください。

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