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レジデント・キュレーション(Resident Curation)と徳島県神山町のまちづくり


NPO法人グリーンバレーの大南信也さんを訪ねて、徳島県神山町2泊3日の旅に行ってきました。

徳島阿波踊り空港から徳島駅までシャトルバスで30分、そこから1時間に1.5本の路線バスに乗り換えて、山道を1時間。これほど行きにくい立地にありながら、神山町は移住希望者(古民家の空きを待っている人)が100人を超えるという、徳島県でも一風変わった町です。

「移住希望者」の中で、若年者(特に子ども連れ家庭)と「起業したい人」が、グリーンバレーから優先的に移住支援を受けます。移住希望者の「やりたいこと」と、四半世紀先を見据えた町の「ありたい姿」をマッチングさせる移住支援策は、まさに町に住まう人(resident)によって町をデザインすること=レジデント・キュレーション(Resident Curation)とでも呼ぶべき取り組みなのではないかと、わくわくしながら大南さんの話を聞きました。子連れの若い人を優先するのは、高齢化率が四半世紀後には54%に至るという推計に対して、人口構成を維持していくための少子化解決策。起業したい人、あるいはお店を出す人を支援するのは、地域経済を復活させる方法です。これらの指針に基づいて、移住希望者の「夢」や「志」を精査し、選択的にひとを町に受け入れていくのは、グリーンバレーが町から移住支援業務を受託し、個人情報を握っているからこそできる仕事です。

たとえば、廃れていた「劇場寄井座」の再生と、人が集まるハコとしての活用。寄井座前の広場はリデザインして、道ではなく広場に向いたお店を並べるという構想。寄井座近くの長屋を改修して「工房」化し、さまざまな職人に住んでもらう構想。IT企業のサテライトオフィスの入居が増えてきたら、気軽に集まれるカフェのような場も必要。これらの企画のひとつひとつが、まちのグランドデザインを構成していて、それを実現するのは、移住を希望する人々の思いと、受け入れる町の人々と、グリーンバレーがファンドレイジングで獲得する資金と、町内外のスキルを持った協力者たちの存在です。

芝居小屋

グリーンバレーのウェブサイト「イン神山」に、研修で神山に滞在したという農工大の学生さんが書いていた「神山町のなんでも受けいれてしまう雰囲気と町民性」という要素も、神山の大きな特徴として見逃せません。一家3人、0歳8ヶ月のムスメを抱えて町を歩きまわっていましたが、すれ違うおばあちゃんやお店の人など、みんなにこにこ話しかけてくれて、本当にオープンで外から来た人を歓迎する空気が共有されていると実感しました。

ところで、訪れた日はちょうど「神山アーティスト・イン・レジデンス(KAIR)2011」の展示最終日でしたが、酒蔵や神社参道、橋の下などの展示と並んで、ひときわ目を引いたのは、「神山農響楽団」という、10分間の映像作品でした。ブロードウェイミュージカル「ストンプ」の振付師を指導者に迎え、神山の人々がボディパーカッションやすだちコンテナ、小銭などの「鳴り物」を使って繰り広げるパフォーマンス作品です(阿波踊りのエッセンスも入っているそう)。老若男女、外国人も含めて本当に多様な住民が登場するこの映像は、明るくオープンで多様な神山住民の「らしさ」を、非常にうまく表現した作品だと感じました。

神山はこれからも、グリーンバレーというキュレーターのもとで、魅力的で能力のある人を次々と町へ呼び寄せ、しなやかで発信力のあるコミュニティを創り上げていくのではないかと思います。いつかその一旦を担う日が来るかも、と夢を描きながら、ムスメがもう少し大きくなった頃、ぜひまた神山を訪れたいと思いました。

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