Pages Navigation Menu

For Creative Communication

Web制作のトレンド=時代の最適解を追い続ける #cssnite_shift5

CSS Nite LP, Disk 20

CSS Nite LP, Disk 20:Webデザイン行く年来る年(Shift 5)に参加してきました。

激動の2011年をさまざまな視点から振り返る “SHIFT” というイベント。この日のセッション群を通じて学んだのは、「今のWeb制作・Webデザインは、スマートフォン(スマホ)の影響を非常に強く受けている」という事実でした。

From Smartphone to Website

まずもって「スマホ」と括ったときに、iPadを始めとするタブレット端末も含む概念なんだ、というところからが、新しい発見でした。しかし個人的には、ちょうどこの10月に(イベント運営時に使うとかっこいいから、という理由で)iPadを買って使い始めたことから、「スマホとWeb」の文脈で語られる内容が、すとんと理解できました。(この「体験」との結合はとても大事だと思います。昨年秋にiPhoneを使い始めるまで、「モバイルサイトを見る」という概念がどうしても腑に落ちないままでしたから…)

さて、「デザイントレンド」のセッションで、いくつかのサイトを眺めながら、矢野りんさんが「(デザイントレンドが)iOSのUIにひっぱられている」ということをコメントしていました。このセッションは、原一浩さんが膨大なアーカイブの中から、今年リニューアルされた国内外のサイトを選び出し(まさにキュレーション)、デザイントレンドの特徴を表す「センターレイアウト」「円窓」「フラット&ソリッド」「アプライズ」といったコンセプトワードとともに紹介するという内容でした。そこから浮き上がるのは、いくつかのiPadアプリでよく経験するインターフェースや画面デザインを模倣し、追随するという方向性。でも、市場に出回る携帯がほとんど何らかのスマートフォンに変わり、スマホの「共通体験」を多くの人がしている今だからこそ、スマホの作法にWebデザインを沿わせる、という手法が多く登場してくるわけです。

my iPhone family pile
Creative Commons License photo credit: blakespot

そして、たにぐちまことさんが設計手法として紹介した「モバイルファースト」の考え方――モバイル≒スマホでの閲覧をまず前提として考え、後からPCのリッチな機能と画面幅に合わせて「何を足すか」を検討する、という手順を踏むとなると、PCサイトでよくあるレイアウトやデザインパターンを前提にするよりも、「スマホで見て違和感の少ないデザイン」が採用されるのもうなずけます。

原一浩さんが、「デザイントレンド」のセッション冒頭で紹介した、「トレンドとは流行ではなく、時代に最適化されつつある現象」という言葉を噛み締めながら、改めてモバイルとWebサイトの切っても切れない関係に目を向け直しました。だからこそ必要とされるHTML5/CSS3/javascriptによるマークアップ、それに伴うアクセシビリティ対応、その制作負荷を少しでも軽減するための「アドビ税」という制作ツール投資…、全てがつながってきます。

Not Decoration but Content

表現の幅が限られる(文字通り物理的にも、スクリプト等の機能的にも)モバイルを意識することで、「装飾」に寄りがちなWebデザインの装飾性は徐々に削ぎ落とされ、「フラット&ソリッド(グラデーションやベベル・角丸がなく、直線的要素の強いデザイン)」が主流になってきているのも見逃せません。細かい要素の装飾性が低下すると、機能的にはコンテンツへの導線が引き立つ一方、デザイン的には「メインビジュアル(≒打ち出しの写真)」と「キャッチコピー」が際立つことになります。

ここでキモになるのが、基調講演で長谷川恭久さんが繰り返し提示した「コンテンツ」の重要性です。彼のブログ “could” は最近、コンテンツ戦略について語る記事が連続していますが、私も2012年に最も注目されるべきキーワードは「コンテンツ戦略(Content Strategy)」だと思っています。

長谷川さんの講演は、Web制作者に対して「本当にWebサイトをつくる必然性があるの?」という根本的な問いを投げかけるものでした。tumblrや「みんなのビジネスオンライン」など、定形のデザインテンプレートを選んでサイトをすぐ作れるサービスが台頭したり、flickrやsoundcloudをウェブサイトの代替として使うことが増えてくることで、コンテンツを届けるために必要な時間は極めて短くなり、「公式サイトを作っても費用対効果がない」という事態は加速する。唯一公式サイトが生き残る理由は、信頼できる情報を、ソーシャルメディア上にコンテンツが流通する際の「元ネタ」としてアーカイブする機能だといいます。

デザインについても、「フラット&ソリッド」なデザインを採用するとすれば、「ビジュアル≒写真」と「キャッチコピー」の力が第一印象を大きく左右します。「デザイントレンド」の小山智久さんが、Web制作業界にはキャッチコピーを書ける人が広告業界に比べて少ない、と話していました。メッセージビジュアルとしてのキャッチコピー、そしてビジュアルの調達・選定という重要課題を、制作者がコミットして決めていかなければなりません。表玄関のあしらいだけではなく、サイト全体のコンテンツを含めて、ユーザーの「体験」を完全にデザインしない限り、本当にしっくりくるアウトプットはできないでしょう。

Flipboard
Creative Commons License photo credit: Johan Larsson

2012年のウェブ制作は、「コンテンツを誰が、どう作り、誰に、どのように届けるか」を考えるという、最も重要なことに向き合わざるを得なくなります。あるいは、腰を据えて向きあうことができるようになる、ということもできるでしょう。矢野りんさんがセッションの最後に「人間中心設計?」と表現したのは、改めて「サイトを訪れる人」に最大の注意を払うということへの回帰だと思いますが、それは制作者も、発注者も、その先にいる利用者も、皆がハッピーになる方向性なのではないでしょうか。

ここ1年半余り、リアルでのインプットが減っていたWeb業界の話を凝縮して学ぶことができた “SHIFT 5” は、期待以上に面白いイベントになりました。Web屋のはしくれとして、来るべき2012年、そしてその先の未来に、わくわくしているところです。

Related Links

コメントを残す