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書くことはつらいけれど、書くのをやめないわけ

「なぜ入谷はブログを書き続けるのか」というテーマの社内勉強会があったので、朝の9時から1時間ぐらい、しゃべらせてもらいました。Google Analyticsで見るブログ運営裏話に15分、11人も集まってくれたオーディエンスから質問を集めるのに15分、preziを使ってだーっと喋るのに30分。とても話し足りなくて悶々とするほど話す甲斐のある、人生の根っこに迫るテーマでした。

書くことの話になると、なにかと、バイブルである『魂の文章術』を紹介することが多いのだけれど、自分にとって書くことはいつも「修行」だと思っている。もともと「コミュニケーション能力」ってやつを伸ばさないとまずい!と焦っていた学生のころに、小室淑恵さんのプレゼン塾に参加したり、ファシリテーションの講座を受けたりしながら、まとまった文章を書いて公開するようにしたのだと思う(当時はMovable Typeで遊んだり、Bloggerに引っ越したり、うっかりサーバを飛ばして過去記事がどっか行ったりした)。しばらく前にインタビューのワークショップに行ったのも、切り口の異なる「修行」だったと思う。ひとと軽い感じで話したりするのは苦手だから、まとまった文章にして誰かに読んでもらったり、特別な場の中でコミュニケーションする方法が発達して、それがいつの間にか、仕事にも役立つありがたいスキルとして、磨かれていた。

「修行」というのは気持ちいいからやるのではなくて、自分に「課す」ものだから、なにかと辞めたくなるもの。ブログ以外に個人的な日記をMacのCloverDiaryという日記ソフトにつけていて、それは毎日書いたり穴だらけになったりするのを繰り返しながら、断続的に2003年から9年ぐらい、幸いにも続いている。なぜか潮が満ちるように、繰り返し「書きたい」時がやってくる。引き潮の時は月に1本ぐらいしかブログを書かないときもあるし、日記が数行以上書けないときもある。でも、大概風邪を引いて寝込んだ数日後や、旅に出る直前や、学び多きイベントに参加した日の夜などになると、「書きたい」という欲求がまたふつふつと湧いてきて、本棚にある何冊かの「バイブル」をかわるがわる手にとっては、ノートやPCに向かって、書いたり消したりを始めることが繰り返される。

そんなことを重ねていたら、最近は、仕事をなんとか切り上げて22時半ぐらいに家に着くと、「24時まであと1時間半あるから記事一本書ける!」と嬉しくなるくらい、書くことの敷居が低くなってきた。それでいて、いざOmmwriterやEvernoteを開いて文章を書き始めると、書こうと思ったことはすぐに尻すぼみになって、記事の体裁をなさなくなる。そういうときは、苦しい。文章を書くことは好きだし、最近はほめてもらえることも多いけれど、まとまった文章を生み出すことの苦しみは、いくら書くことを重ねても軽くなることはなくて、途中で逃げたくなって散歩に出たり、おもむろに洗濯物をたたみ始めたり、facebookを2分に1回くらい開いていらいらしていたりする。別に自分のために書いている文章が中途半端に完成しなくたって、自分の気の済むように話が締まらくたって、逃げ出しても誰も困らないわけ。

それでも、続けていられるのは、続けてきたなりの「いいこと」が、もうたくさんあったからだと思う。ブログ読んだよって言ってもらったり、予想外の人からRTやLikeをもらえるだけでも、とても嬉しい。コメントがついて会話が始まったり、誰かが関連する文章を書いてくれたのを読むのもすごく嬉しい。さらに、ブログは貴重な出会いのきっかけにもなってきた。去年TEDxTokyoのコミュニティにどっぷり関われたのは、@ikdrymがブログを読んで、TEDxTokyoのブログ担当としてリクルートしてくれたことが始まりだし、greenz.jpに少しだけライターとして書く機会を得たときも、渋谷のカフェ”ANTENNA”で@junyamoriや菜央さんと話せたのは、ブログを読んでもらえたおかげ。この記事を書くきっかけになった社内勉強会も、入社1ヶ月半の新米社員に話す場をもらえたのは、ブログを書いてきたおかげ。そんな現金な報酬に味をしめて修行を続けるうちに、いつの間にか「筋肉がつく」かのごとく、一晩で5000字の記事をさらっと書けるだけの執筆スピードが身についたり、社内で本を書く担当になっていたり、書く力が不思議とついてきていたりする。

知識労働者には、アスリートにとっての「トレーニング、稽古」にあたる日々の鍛錬方法がなかなか見えにくくて、腕を磨くことが難しいけど、「文章を書く」ことは、編集稽古であり、言葉をわかりやすく紡ぐトレーニングであり、思考を整理することでもあって、とてもとっつきやすい修行のかたちだと思う。

転職をしてだいぶ仕事が忙しくなった今でも、むしろそんな今だからこそ、自分以外の誰かに向けて書くことを止めないようにしたいと思う。昨年3月に味わった、投稿した記事が何日もリツイートされ続けるような体験は、もう当分ないだろうし、がんばってまとめた記事のリンクを何回FacebookやTwitterに流してもからっきし反応がないことなんて日常茶飯事。けれど、いつか「セレンディピティ」が面白い経験をさせてくれるであろうことを信じて、今日もこのポストをなんだか未完成のまま、公開して寝てしまうことにする。

(久しぶりにまとまりのない文章を書いた)

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+ “self-branding”(@madams_lunch)
+ 僕がブログを書く理由(@k14)
+ ブログ修行で大事な3つのこと(@ich_co)

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