Pages Navigation Menu

For Creative Communication

Asanaに学ぶ、ブランド再構築の技法 #newAsana

タスク管理ツールのAsanaが、2015年9月末に大幅なデザインリニューアルを行いました。UIはもちろん、なんとロゴまで新しいものに!

私は2011年ごろからずっとAsanaを使っていますが、このリニューアルはとても嬉しく、共感でき、同時にその変化の大きさに驚きました。

こんな感じで使ってます

こんな感じで使ってます

このリニューアルの背景について、Mediumに興味深い記事が公開されていました。この記事をもとに、Asanaがサービスのブランド全体を作り替えた過程、そして同じようにブランド再構築に臨むときの技術について紹介したいと思います。

※この記事は、元Asanaのデザイナーで本PJにも関与した Micah Daigle氏がMediumに書いた記事 Circling Ourselves: The Story Behind Asana’s Rebrand(自分たちを取り巻く:Asanaのブランド変更の背景にある物語) の抄訳に近いものです。多くの内容と一部画像を引用していますが、多分に筆者の解釈・感想を含みます。

「パーソナリティ」を考える

Asanaのリブランディングプロジェクトは、旧Asanaが「初めて使う人にとって敷居が高い(使い始めれば気に入ってもらえるのに)」という課題や「ロゴやカラースキームがいけてない(雨の日っぽいw)、UIが雑多で退屈」といった課題を抜本的に解決するために、1年間かけて行われたもの。そして、こうしたデザイン変更を突き詰めると、どんどんそもそも論(ユーザーは誰なのか、自分たちは何をしたいのか)に行ってしまう、、というのは「あるある」ですが、Asanaのケースでもそうした「パンドラの箱を空ける」ことのメリットデメリットを慎重に議論した上で、CIを含むブランド全体のリデザインを決めたそう。

Asanaの創業以来のミッションは、 “Help humanity thrive by enabling all teams to work together effortlessly.”(人類の成長を助ける:すべてのチームが自然に協働できることを通じて)。そしてAsanaの企業Webサイトには多くの「価値キーワード」が定義されています。

※私は個人のタスク管理としてしか使えていないけど、本来はチームワーク用のサービスです。念のため。

そして、大上段のビジョンミッション的なところだけでなく、”Personality(人柄)” を整理することが、今回のリデザインにおける調査フェーズで重要でした。Asanaというプロダクト(サービス)をFredという「人」に喩え、ユーザーに対して

“If Asana were a person, what would they be like?”(もしAsanaが人物だったとしたら、それってどんな人?)

という投げかけをして、さまざまな意見を集約。そこで出てきた膨大なアイデアを分類して、キーワードを抽出していったそうです。

擬人化、というアプローチはよりユーザーフレンドリーな考え方をする上で効果的

擬人化、というアプローチはよりユーザーフレンドリーな考え方をする上で効果的

「核となるキーワード」を抽出する

キーワードは一度6つに集約され、その後全社からのフィードバックを経て、次の4つのキーワード(コンセプト群)に集約されました。

image by Micah Daigle

image by Micah Daigle

  • Empowering(力づける) – 動機づける、励ます、可能にする
  • Purposeful(目的がはっきりしている) – 情熱的、意図的、効果的
  • Quirky(クセのある) – 遊び心がある、型にはまらない、奇抜な
  • Approachable(親しみやすい) – 誠実、見栄を張らない、愛すべき

…こう並べてみると、実現したい価値やコンセプト、他のツールと比べた時のポジショニングを非常に明確に示すものになっていると感じます。前2つはコアバリューを明確にし、後ろ2つは「どんな存在でありたいか」をよく表していると思います。

これらのキーワードを体現する Brand Narrative (ブランドを表す物語。いわゆるストーリーテリングと同義と思われる) が加わって、Asanaの「コア・アイデンティティ」が定義されます。

コア・アイデンティティに照らしてデザイン評価する

これらのコア・アイデンティティを踏まえ、実際のデザインに落としていく過程では、Moving Brand社(サンフランシスコ他世界4都市に拠点を置くクリエイティブカンパニー。NETFLIXやGoogle Playの仕事をしている)が手がけた3つのロゴデザインが最終候補に。

a_bloom

a_flow

a_threedots

上から

  • Bloom (花)
  • Flow (流れ) ※採用されなかったが色使いの考え方の基礎になったそう
  • Three Dots (3つの点) ※採用案

※原文記事からの引用です。ちなみに元記事では「Three Dotsってプレデターに出てくるレーザーの印に似てない?」っていうジョークがあるんですけど元ネタが分からないので画像は割愛(笑)

上の画像にあるような、ロゴの多様な使われ方をシミュレーションしていく中で、ファウンダーのJustin Rosensteinいわく「このロゴがiPhoneのホーム画面にあったら一発でチームワークアプリだって分かる」ということで、このロゴが選定されたそう。

デザインリニューアルの範囲は全体の色使いや書体など多岐に亘り、さまざまなアイデアが提案される中で、例えば “Daily Flow” (朝・昼・夜で画面の色使いが変わるしくみ。Gmailにこういうのありますよね)というアイデアは、よさそうだけど最終的に「自分たちのコア・アイデンティティに合致しない」という理由で採用が見送られたそう。

コンセプトに照らして採用が見送られたDaily Flow

コンセプトに照らして採用が見送られたDaily Flow

一方、以前のハッカソンイベントで出てきた「課題を完了すると虹色のユニコーンが祝ってくれる」という「お遊び機能」は、標準機能に格上げされ、好評を博しているそう。

これらのアイデアの評価基準は、まさに先述の4つのコンセプトワードに象徴されるAsanaのコア・アイデンティティ。デザイン制作プロセスでは “Clarity & Energy”(明快かつ熱い) というサブコンセプトのもとで、細部のデザインが行われました。

この過程は、記事冒頭で著者Micah氏が強調している “Constant Circling Back”(繰り返し回り回って戻ってくる) という大事なやり方で、試行錯誤を繰り返す中で「輪を狭めていく」ことで、ブレないものが創り出せるということだと思います。

Micah氏によるブランド再構築の8つのステップ

最後に掲げられた “Advice for your branding process”(ブランディングの進め方に関するアドバイス)は、下記の通り。

  1. なるべく初期段階から、多様なチームメンバーをプロジェクトに巻き込む
  2. 必要な時に外部の支援を得る(専門のコンサルタント、エージェンシーは外部のフレッシュな視点としても大事)
  3. コンセプトをあたためる時間を取る
  4. 1案だけじゃなく複数案作って比較する
  5. チームの直感を信じる
  6. コア・アイデンティティに何度も立ち返る
  7. 前進しながら「輪を狭める」
  8. 楽しむ!

…「リ」ブランディングだけではなく、コミュニケーションデザインのどんなシーンにも当てはまる原則だと思います。特に6と7を徹底すること、「立ち返る」ためのコアを突き詰めることに妥協しない、というのが、強いブランドづくりの秘訣なのだと感じました。


このプロセスを噛み締めながら、新しくなったAsanaを使ってますます生産的な仕事をしていきたいと思います。Asana使ってプロジェクトやろうよ!というお誘いも歓迎です!!

※このイメージ動画は、Giant Ant社(バンクーバー拠点のクリエイティブスタジオ)による。

Related Articles

No Comments

Trackbacks/Pingbacks

  1. 「管理ツールが乱立しすぎる問題」を解決。SlackやGoogleカレンダーとも連携できるプロジェクト管理ツール「Asana」が便利! | THE BAKE MAGAZINE - […] ・Asanaに学ぶ、ブランド再構築の技法 #newAsana http://irritantis.info/2015/10/asana_brand_redesign/ […]
  2. 長く使えるプロジェクト管理ツール厳選レポート2016 - […] Asanaに学ぶ、ブランド再構築の技法 #newAsana | It’s Real Intelligence! 7 […]

コメントを残す