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デザインユニットAssembleの、コミュニティとともに育つ建築 #de07 #designeast

大阪・北加賀屋で開催中のイベント“DESIGNEAST07 [Mobilities]” 初日のメイントーク。 イギリス・ロンドンを拠点に活躍するデザインユニット『Assemble(アセンブル)』のCo-Founder、モスクワ生まれの29歳、Maria Lisogorskaya(マリア・リソゴルスカヤ)さんが2時間半にわたってトークを聴かせてくれました。復習がてら、前半90分のプレゼンテーションの内容をかいつまんで、彼女たちのこれまでの仕事をご紹介します。なお、一つ目(トーク風景)を除く全てのプロジェクトの写真は、Assembleの公式Webサイト assemblestudio.co.uk からの引用です。

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The Cineroleum – ガソリンスタンド跡地を映画館に

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Assembleの処女作とも言える シネロリウム(Cinema 映画 + Petroleum 石油)は、イギリス国内でも廃業が増え続ける「ガソリンスタンド跡地」を、ポップアップ映画館に作り替えるプロジェクト。「エレメントは自分たちでつくる」をモットーに、足場材の廃材や断熱材を利用して、カーテン・屋根・跳ね上げ式の椅子もみんな手作り(IKEA STYLEの設計図面まであるらしい)。上映が終わるとカーテンが上がって道路に出られます。なんでも作っちゃう手作り力、すごい!

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Assembleは当時まだ会社組織ではなく、The Cineroleumはケンブリッジ大学で建築を学んだ学生たちの「ギャップイヤー・プロジェクト」。しかし、この手作り映画館プロジェクトと、ハイウェイ高架下にポップアップのイベントスペースを生み出した”Folly for a Flyover” の2つのプロジェクトで一躍注目を浴び、建築プロジェクトの本格展開が始まったといいます。

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木で編んだカーテンのような外壁が印象的な、Folly for a Flyoverの屋外シアター

Yardhouse – 手作りで安価な共同ワークスペース

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ヤードハウスは、ロンドン東部・ストラトフォード地区にあったAssembleの元拠点、Sugarhouse Studioに隣接して建てられた、クリエイター向けの共同ワークスペース。この建物は “Affordable workspace“(Affordable = 手頃な)をコンセプトに、安く作って安く入居できる仕事場づくりを目指したそうです。納屋のような木の構造とプレハブ断熱材。建物内のパーティションは、住人であるクリエイター(セラミック、ファッション、フィルムなど多様な作り手がいるそう)が自分たちで作ります。

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Yardhouseの注目ポイントは、カラフルなコンクリートタイルを敷き詰めたファサード(正面外壁)。とても特徴的で、instagramの人気スポットでもあるらしい(笑)。安価だからといって単調な建物ではなく、こういったディテールへのこだわりはどの作品にも見られます。基本的にAssembleのメンバーは“ArchitectではなくDesigner”、コラボレーションを主とした彼らの立ち位置はどちらかというと黒子役なんですが、ディテールを見るとやはり気鋭のクリエイターだなーという感じを受けました。Yardhouseの住人もAssembleの面々もパーティ大好きで、入居者が増えるといつも歓迎会をしたりしているそうです。

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※いくつかの記事でAssembleの集合写真的に使われているこの写真も、どうやらYardhouseの建築中風景のよう。トークの冒頭でも「アーミッシュが納屋を建てているみたい」という表現で、Collective Buildingを得意とする彼らの象徴的な写真として紹介されていました。

Granby Four Streets – 郊外の街を再生する

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グランビー・フォー・ストリートは、イギリスにおける現代アートの登竜門「ターナー賞」受賞の決め手となった(と複数の記事に書いてありました)、リバプールの荒廃した街路・Granbyを再生するプロジェクトです。1900年代に建てられたビクトリアンタイプの建物が廃屋となって連なる中、行政主導の立て直しが頓挫した後を受け、住民主導での地域再生を図るものです。

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社会運動の歴史もあるリバプール住民の「強いコミュニティ」の中で、何人かの住民自身が既に、植樹したりストリートマーケットをしたりという動きをしていたそう。それを生かし、大きなマスタープランではなく「小規模な介入」によって、段階的に開発を進めていく手法がうまくいっているということです。Mariaがトーク中 “Learning from community” コミュニティから学ぶ、ということを何度か口にしていたのが印象的でした。10棟のリノベーション第一陣では、手作りの暖炉(mantelpiece)や絵付きのタイル、セラミック製の手作りドアハンドルなど、そこかしこにAssemble案件らしい「ハンドメイドのこだわり」が入っています。

Granbyでは、Community Land Trust(コミュニティランドトラスト、共同体土地信託、CLT)というしくみを利用することで、再開発で地価が上がっても(gentrification)、元からの住人の負担が増えない等の対策も取られているそうです。郊外で福祉っぽい視点はAssembleの特徴的な部分ですが、行政とのやりとりとか大変そう…


 

トークでは他にもいくつかの特徴的なプロジェクトが紹介されました。

  • New Addington : クロイドン(Croydon)の中央広場をアートステージに作り替え、地域のコミュニティイベントをぜんぶこの公共空間に持ってきたというプロジェクト。若い人も活動できて、世代間の緊張をほぐす。地域コミュニティへのリサーチを丹念に行ったそう。
  • OTOProjects : 奥様が日本人のクライアント “Cafe OTO” の店舗に隣接する、演奏家向けの建物。ガレキや石を袋に詰め込んで、コミュニティの音楽家たちと一緒に壁を積み上げてできた。Assembleが得意な「場所はあるけど予算はない、ならその場所にあるマテリアルを使う」という案件。”Quite a funny looking building(外見はかなり変)”だけど中はCozyな空間だそう。
  • Baltic Street Adventure Playground : グラスゴーの子ども向け遊び場。インフラだけデザインして、あとは場所が時間をかけて進化する。
  • Goldsmiths Art Gallery : 大学のアートギャラリー。大規模なので自分たちでは施工できないけど、なかなかいい施工会社が見つからなくて、ならいっそ自前でConstruction company作っちゃおうかと言っていた。

位置関係はこんな感じ(詳細はたぶん不正確ですが大まかに)

DESIGNEASTの会場では、2日目のメイントークに登場する建築家・ソーシャルアーキテクトの藤村龍至さん(@ryuji_fujimura)が、丁寧にtwitter実況しながら「でもこういうのは日本の若手建築家もだいたい似たようなことやってるしNothing newだけど(!)、バランスよくいろいろな課題に取り組んでいる知的なチームという印象」と話していました。

ともあれこうやって直接話を聞く機会があると、数年間のプロジェクトの流れをひとつのストーリーとしてインプットできるのがありがたいです。Googleで探すとインタビュー記事も色々あって(15人のメンバーがフラットな関係だそうで、Maria以外にも複数のメンバーが記事になってたりプレゼンをしていたりします)読み切れないくらい。これからの活躍も楽しみです!

参考記事

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