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待ち時間が劇的に短い健康診断センターの秘密(京都武田病院の体験から)

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年に一度の健康診断に行ってきました。関東ITS健保指定、京都駅前の「武田病院健診センター」です。2012年から毎年夏ぐらいに受診しているのですが、去年と今年は劇的に待ち時間が短くなっていて、非常にスムーズでした(昔溜池山王では半日潰して延々待っていたような…)。病院・クリニックのオペレーションのスピード感は天と地ほど開きがあるものですが、武田病院はなぜスムーズなのか。

まず、今日の「健保指定ドック」のラップタイムを計ってみたのでご紹介。

  • 08:25 予約時刻。受け付け
  • 08:45 着替え
  • 09:00 問診、尿検査、腹部エコー、胸部X線(レントゲン)、心電図
  • 09:11 血圧、身長体重、腹囲
  • 09:16 採血
  • 09:24 バリウム
  • 09:40 聴力、視力、眼圧
  • 09:46 内科
  • 09:52 終了

時間のかかる腹部エコーとバリウムを含め、問診から最後の内科診察完了まで1時間未満!! つなげて書いているところ(腹部エコー⇒レントゲンとか)は、待ち時間ゼロで即呼ばれたのでラップタイムを記録する時間がなかった科目です。 今回は1ヶ月前の予約で「朝一」を取ったので、受診者の中でも相当早い方だとは思いますが、それでも受付番号は26番(なので受付~問診スタートまでが長い)。帰る頃には中待合いはわりといっぱいで受付前は空いていたので、9時台後半の人はもう少し待つかもしれません。

それにしても。

実は武田病院健診センターは、昨年2016年4月に検診システムを全面リニューアルし、バーコード付きリストバンドの導入や、各ブースでのタブレット端末導入などが行われています。この件については(1年ちょい遅れですが)公式のお知らせが出ているので、これを読み解きながら、一利用者としての体験を交えつつ、「健診オペレーションで待ち時間を極力減らすシステム」について考察してみます。

(1) 順路を定めずタブレット端末で「すいている検査」に誘導

武田病院では、一部を除いて「検査順」が決まっていません。血圧⇒身長体重とか、一部前後が固定されたものはありますが、あとは「空いているところに適宜誘導する」しくみ。これが新システムのキモの一つでもある「検査誘導」です。実際は、各検査場に置かれているタブレット端末で、「次の検査は○○」と表示されるのを案内してもらい、そのブースに向かいます。順路がないので、わりと健診フロア内を行ったり来たりするのですが、歩き回る時間より、待ち時間短縮効果の方がはるかに大きい印象です。

※図は公式お知らせからお借りしました。

腹部エコーが終わってレントゲン室の扉の前に着くと同時に名前を呼ばれたので、たぶん前の検査(腹部エコー)の入力が終わった時点で、次の検査(レントゲン)の端末に「次は○○さん」っていうのが出てるんですね。で、前の人がいなかったらそのまま待ち時間ゼロで検査開始できる。この「次の検査に着いた瞬間呼ぶ」タイミングって何気に測りにくいと思っていて(検査場を移動する数秒の時差が発生する)、何か調整の工夫があるのかもしれません。

おそらくこのしくみの裏では、検査科目ごとの予測/実績行列量、一人あたりの平均滞在時間(=回転の速さ)、利用頻度(たとえば採血はみんな通るけどバリウムは一部の人だけ)とかを計測しながらコントロールしていると思うので、実は全体が最もスムーズに流れるような「人員配置最適化」と「ボトルネック解消」こそ、このシステムが最も価値を発揮する側面だと思います。例えば、採血がボトルネックで人が溜まっちゃう場合、スペースを空けて1レーン増やすとか。中待合いが溢れないように、受付のレーン数を絞って流量をコントロールするとか。こういう管理は、スーパーのPOSシステム・レジ周りでもけっこうやっていて、人件費やキャパシティに直結しているはずです。

参考:「はかりのイシダ」が提供するPOSシステムとLSP = Labor Scheduling Program ソリューション。 LSPはアメリカの流通業界の概念。

(2) リストバンド基点でリアルタイムに全検査データを集約

最後の内科検診では、腹部エコーやバリウムなどの全撮影データ、血液検査の測定値などが一通り揃った状態で、医師の診察があり、他時間に所見を伝えてもらえます。複雑・高度な検査も多い中、画像含む全検査データがしっかり一元管理されていてスムーズに出し入れできるからこその芸当なので、構築はかなり大変だったのでは。。とはいえ、この「集約の速さ」が、健診全体の体感待ち時間軽減にはかなり効いていて、さくっと終わっていく(にもかかわらずだいたいの結果がわかる)のは非常に満足度高いです。

各検査場では、一々腕のリストバンドをスキャンしてIDを登録してから検査情報を入力していきます。これはお知らせ上「受診者間違いを防止でき、安全安心な健診」という意義を謳っていますが、システム共通の通しID(グループ内の病院で共通化された「健診ID」)を使うことで、かなりデータの取り回しがしやすくなっているのだと思います。

ちなみに、今日の内科診察はちょうど所長の桝田出先生で、このシステムについて「高かった~~~~」とぼやいておられました(笑)。武田病院グループは、複数の病院でデータを共有化するプライベートクラウドの電子カルテシステムを入れたり、かなり先端のICT技術に投資している感じです。(こういうとこの所長って現場で普通に診察するんですね…)

(3) 無駄のないルーチン手順の確立

システムが実現するしくみを回していくのは「ひと」ですが、各検査担当の方(看護師さん?技師さん?)の一挙手一投足にムダがないことも、全体の待ち時間に大きな影響があります。検査場に到着してから準備完了までの誘導、検査手順の案内の仕方、検査中の体の動かし方など、きちっとマニュアル化された手順が浸透している感じでした。その上で、「余裕があってゆったり話す人」と「機械的にゆっくりはっきり話す人」と「ちょっと疲れた感じで投げやりに棒読みする人」がいて、面白い。

すごい量流れてくる人数を少数の専門担当チームで捌き続けるわけで、こういう仕事、性格が合う人合わない人いるだろうな… と思いつつ、こうしたルーチンワークの精度を上げながら「余裕のある接し方」をつくっていくのが、サービス全体の満足度につながっていくのだと感じました。ちなみに去年と二回連続で視力検査担当の人に「Kindle使いやすいですか?」って訊かれて「手放せないです。」って答えた。(健診フロアはKindle・スマホ・本など持ち込めます。でもあんまり読むような時間がなかった)


そういえば、先日京都駅前に新設された免許更新センターに行った時も、オペレーションのスムーズさに感動を覚えました。ゲー他連携を伴う群衆誘導系のシステムは、だいぶ枯れてきたというか、しっかり観察してデータ構造を作れば、かなりムダのないシステムが組めるようになっているのかも。長く使われるシステム、価値創出を促すシステムをつくり上げた先達たちに敬意を表します。

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