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For Creative Communication

立憲民主党のクリエイティブに学ぶ

2017年の衆院選に旋風を巻き起こした、立憲民主党。枝野さんの陣営が繰り出すクリエイティブの品質とスピードは、同業者として「憧れる」と言ってもいいものだった。10/2の結党から投票日までたった20日間。そのごく短期間に投下され、進化し続けたクリエイティブの数々を見ながら、短期決戦を支えたデザインの力について考察したい。

ロゴの「原則」に全てを沿わせる

青字に白、右肩上がりで「民」が一回り大きい立憲民主党のロゴが、結党から「一晩で」「デザイナーが何度も作り直して」できたことは随分話題になった。(下記画像は公式サイトのog:imageを表示しています)
https://togetter.com/li/1157338

ogp_image.png

しかもこれ「4回バージョンアップ」されて今に至るらしい。(立憲の立の字の下が揃った。ってこれ言われなきゃ気づかないでしょ。。w)
https://togetter.com/li/1160061

「完成するまでの時間に対して」ロゴとしての品質が相対的に高いだけではなくて、その後に展開される全てのクリエイティブに、ロゴの世界観がびしっと一気通貫して用いられていることからも、この「最初の仕事」の完成度の高さがわかる。

公式webサイト。(webデザイン全体はちょっとぼてっとして重たい感じはするけど、スマホで見やすいし構造はシンプルだし十分な感じ。何よりこの候補者情報の怒濤の登録作業とか…地域別のフィルタ機能とか…短時間で…)

web.png

↓政策パンフレット。

pamph.png

↓演説会の「ウェブ拡散用」スクエアバナー。(特に左側の最終日@新宿バスタ前のものはお二人ともいい表情をしていて切り抜きが上手)(並べると字体とかけっこう違うことがわかる)

共通するのは、平たく言うと《青+白で右肩上がりのライン》という至極単純なルールではあるけれど、この単純なルールをうまく用いるだけで、「らしさ」の演出ができ、見た人に「ああ、あの政党の」とブランドイメージを喚起させうるというのは本当に強い。ロゴが単なるマークではなく「ビジュアル・アイデンティティ(VI)」として、良い仕事をしていると思う。線の角度とか色とか標準書体とか、細かい規定があるんだろうか。

演説を素材とした短時間の映像

twitterをベースとするソーシャルメディア戦略の中でも重要な役割を果たした「動画」の数々。個人的に最も感動が強かったのは、結党翌日10/3@有楽町での演説をこれまた「一晩で編集した」という、1分間の映像だ。

音楽も何もない、ちょっと割れたり裏返ったりしている枝野さんの演説の音声、少し聴衆の拍手などの音。ほぼ枝野さんが喋っているシーンだけど、時折差し込まれる聴取の笑顔や拍手。たったこれだけの時間に、謙虚で誠実で熱意のある「空気」が凝縮されていると思う。枝野さんは言葉が分かりやすいから、すんなり目と耳に入ってくる。いま見直すとちょっと冗長な感じはするけど、これ結党の翌々日とかだからね。衝撃でした。

公示日の10/10には、落ち着いたWebCMが公開されているけど、かしこまった演出のWebCMよりはるかに、荒削りな最初の1分間のほうが共感できると思った。もちろん、時間とともに素材の質・編集の質は上がっていく。「○○大作戦」と銘打った演説会への動員用に作られた、30秒程度の「CM」の数々(このスピードもすごい)。終盤に近づくにつれ、力のあるキーワードが鮮明になり、それっぽいBGMがつき、力の入った文字の配置が加わる。

たった数十秒だけど、多忙を極める選挙戦の中で、丁寧に素材を集めて加工して、地域ごとにバリエーション違いの動画を編集して出していくのはすごく大変だと思う。YouTubeでの再生数は決して多くないけれど、twitterのタイムラインを通じて目にした人は多いのではないだろうか。この「速さ」と「量」を生み出す動画編集の体制作りが、重要な戦術だと感じた。

クリエイティブはSNSの波に乗って

選挙戦を通じて、twitterアカウント @CDP2017 の「中の人」の活躍はめざましく、演説会の案内やメディア掲載のシェア、フォロワーとの対話(FINALの会場、品川が取れなくて奔走した夜とか)が続いた。フォロワー18万以上、ツイート1400以上。このタイムラインを眺めているだけで、共感したユーザーがどんどん増え、ハッシュタグで絡み、支持の声を高めていく様子が見えた。

tw.png

こうした選挙時のソーシャル・キャンペーンの技法は、古くは2008年米オバマ大統領の選挙戦(本田哲也さんの『戦略PR』が流行った頃)ごろから注目されていて、今回は正統的にwebメディアをしっかり使い込んでいるように感じた。いまだにtwitterが主軸になる。Buzzfeedの記事に、SEALDsのメンバーが「裏方」として活躍していたという簡単な紹介があったけれど、ソーシャルもイベント運営も、かなり「経験値」のあるチームがキャンペーンを運営していたんだと思う(「陣営」「ブレーン」とかって実際どんなチーム/どんなプロジェクト形態なんだろう…大手広告代理店の常設チームなのか、それとも…)。

選挙が終わって、これからさまざまな視点から総括がされていくだろう。クリエイティブ畑の人間としては、ぜひデザイナーの方とクリエイティブ・チームのインタビュー、そして21世紀型のソーシャル・プロモーションを支え続けた、@CDP2017 の中の人のインタビューをぜひ読みたい。

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