Posts Tagged 書評
憧憬(vision)を描くこと。『感じるマネジメント』読後感
Posted by irritantis in 本 on 2010/03/26

デンソーにおける理念浸透の物語を綴った書『感じるマネジメント』を読みました。@neonaonとリーラボの話をするとき、たびたび話題に上がるのがこの本。組織に価値観を浸透させること、ひとつの方向に集団を導いていくための方法が示唆される。
この本の中で、もっとも印象的だったのは、p101から、
ビジョンを『憧憬(しょうけい)』と訳したところ。
夢や理想とは違うし、ミッション(使命)とも違う。
かくありたい、という、あこがれの情景を描き、語ることが、トップがすべきことだと説きます。
そして、トップがビジョン=憧憬を語ることで、それを聴くメンバーそれぞれに「内省(reflection)」が誘発される。自己投影とか、自分のこととしてとらえる、ということに近いと思う。この、内省を誘発するところが、抽象論ではなく物語だからこそ持ち得るパワーである、と。
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[R+] COURRiER Japonの小ネタ力
Posted by irritantis in 本 on 2010/01/20
レビュープラス3本目の参加記事。先輩レビュアーの@onolinaさんが「敢えて特集のことは置いといて…」の先を行ってしまったが(笑)、クーリエ初心者としては、世界中のリソースをかき集めた編集の「バランス感覚」に驚嘆したことを書くことにする。献本いただいた対象作は、2010年2月号 vol.064。
* * *
世界の小記事を集めた定番コーナー「World News Headline」では、3つのカテゴリ(政治、経済、社会)、5つの地域、30の記事からなるストーリー集。ひとつひとつの記事は200〜300文字程度だが、コンパクトにまとまっていて、地図の上にスパッタリングで飛沫を飛ばすように、世界の出来事を見ていくことができる。キルギス、イラン、エリトリアといったマイナー地域のできごとも、その地域になじみの深いメディアの記事を使っていて、なんとなく距離感が近い。ざっと眺めていると、Wikipediaにランダムボタンがついて、それを押しているように、知らない世界の扉を一枚一枚開けていく感覚がある。

[Santiago - photo by ·S - CC by-nc-cd]
そして、特集「世界が見たNIPPON」では、米英のメディアからJAL・民主政権・中小企業経済の話題を、中韓のメディアから歴史と教育の話題を、仏ル・モンドからは移民の話を引っ張ってきている。ここの切り口は、ある種典型的とも言えるが、最新の論調で更新されていく感じだ。逆にこの記事から、各国の代表的メディアの文体もなんとなく伺い知れる。エコノミストの経済論は、やっぱり重厚だ。
そして、独自編集のCOURRiER VOYAGE「ワインと詩人の国、チリを訪ねて」。4ページの文章の中に、文化と軍政の流れをぎゅっと凝縮。カルメネールのワイン、詩人ネルーダの生、ピノチェトのクーデター、バチェレ大統領の為政。知らない語圏の人名は、イメージを持つのがなかなか難しいけれど、日帰り観光旅行のような感覚で、チリという国に出会うことができた。
* * *
小さい頃、進研ゼミの「チャレンジ」についてきた、付録の図鑑を食い入るように眺めて、世界のありように思いをはせていたことを思い出す。クーリエの小ネタ満載っぷりは、今もなお衰えていない、飽くなき世界への知的好奇心を、うまい具合に刺激してくれる。
[R+] 現代インドの歪んだ群島『インド人のことはインド人に聞け!』
Posted by irritantis in 本 on 2010/01/17
インド人だって、シンガポールに行けば振るまいが変わるものさ。(オンカール氏のことば。p19)
現代インドの様相をさまざまな角度から描写したレポート、インドのことはインド人に聞け! (COURRiER BOOKS)(中島岳志 著)を読んで一番衝撃的だったのは、第1章の「ゲーテッド・コミュニティ」の話。カタカナだとぱっとイメージが湧きにくいが、文字通り “Gated”:門の閉ざされた、お金持ちのためのクローズな共同体のこと。ゲーテッド・コミュニティの中には、必要なものがすべて整う流通があり、厳重な警備が施され、そして高い塀によって外界から孤立している。ここに住む人たちは、急激なインドの経済発展で成り上がった富裕層。
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デミクーパー礼賛。美崎栄一郎『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』
Posted by irritantis in 本 on 2009/09/11
ない。ないのだ。 ※10/5追記:ありました。
『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』で度々紹介され、
「サークルKサンクスでしか手に入らない」という注釈付きの、
コクヨS&T製メモパッド「デミクーパー(demi couper)」のことである。
勤務地の市ヶ谷には、なぜか2件もサンクスがあるのに、どちらにも
違うブランドの普通のリングメモしか置いていない。
代々木と荻窪の行動圏内には、そもそもサンクスがない。
Amazonでも、取り扱ってない。罪な製品紹介である。
デミクーパーは、真ん中に入ったミシン目で2つに切り離せる
=1ページ2コンテンツで生産性が2倍、という、美崎流ノート術の
「メモノート」として、自分にとっては必須のツールなのだ。
しかたなく、使いさしで残り枚数の少なくなったロディアの11号を
スーツの左ポケットに常時放り込んでおくことにする。
- – -
「結果を出す人」=美崎栄一郎さんが提唱する、ノートテイクの目的は
「忘れること」。
マルチタスクで仕事をしたり、次から次へ雑多なインプットが入ってくる
環境下では、暗記という行為はリスキーで、脳のメモリーがもったいない。
確かに、片っ端から書いて、あとから参照できるかたちにしておけば
よいのだ。
動きながらの最初のインプットは、パッと取り出してサッと書ける
小型メモ+油性ボールペンのコンボが圧倒的に有利。
美崎流はこのあと、A5サイズの「母艦ノート」にメモをそのまま
貼り付け、整理していく。
必要があれば、PCに「清書」する。
スケジュールも、基本は薄手のスケジュールノートに
手書きで整理していく。
こうしたアウトプットのフロー(型)さえ確立できれば、
あとは粛々とアイデアを出しまくり、
インプットを増やしていけばよい、という寸法だ。
- – -
必ずしも、皆が美崎流に倣う必要は、ないと思う。
iPhoneユーザーなら特に、「ユビキタス・キャプチャー」を
Evernoteとのコンボでがんがん取り込んでいけばいいと思うし、
自分としても、2003年から次で8冊目となる「ほぼ日手帳」を
軸にしたスタイルは、当面変えないと思う。
それでも、『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』には、
知的生産性アップのヒントがたくさん詰まっていると思う。
アウトプットを志向した、メモ、母艦、スケジュールの情報の流れや
「予想と結果」を軸とする思考のフレームワークなど、
実践的な教えが溢れている。
少々マニアックな「文房具案内」としても価値が高くて、
知らないノートに出会えることもまた楽しい。
ノートを書けば書くほど浮かんでくる「ノートをどう使うか?」
という問いに対して、一石を投じてくれる本多と思う。
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